WorthとValue

 

私の専門分野のひとつにVE(価値工学)がある。価値を向上させる為のプロセスや方法が中心となる概念なので、当然価値とはなんぞや?というのがポイントとなる。VE概念が米国で誕生し約70年経ちますが、価値を評価する為の評価式はValue(価値)=Function「機能」/ Cost(コスト)という方程式で定義されて、当初から現在まで不変である。

 

一方で、VE活動の対象範囲は製品改善だけでなく、間接業務やサービス、商品の企画段階や物流など広範な分野に拡大しつつある。このようにVE活動範囲が多様化した中で、どんな状況でも上記の評価式が相応しいのだろうか? 例えば商品つくりの源流である市場分析の段階で考えると、コストのイメージなどは、まだ手探り状態の筈であるし、顧客も使用目的は、まだしもその達成手段となる機能に関しては意識していないだろう。市場での顧客視点で考えた場合、価値向上に結びつく概念とはどのようなものだろうか? 私としては、米国VE界の重鎮であった故J.J.Kaufman氏のWorthという概念が相応しいのでは?と考える。氏は、同じモノでも、モノを作って提供する側とモノを買って使う側では、価値観が異なると主張している。市場の顧客は、自分の欲するものが、いくらで手に入るかが問題であって、欲しないものは安くても欲しくないし、欲しいモノでも高価なものはあきらめるというのが一般的である。これを氏はWorthbenefitPriceという概念を用いてWorth(価値)=Benefit(便益、効用)/Price(売価)という評価式で表している。この評価式を商品つくりの過程で用いるとすれば、源流である市場分析や商品の構想・企画段階ではWorth=Benefit/PriceWorthが向上するような商品を企画し、次工程である開発・設計段階で源流で模索した価値の高いWorthを、できるだけValueの高い製品構造につながるように図面作成の段階でValue=Function/Costの評価式を用いた概念、評価式の移管を含めたバトンタッチプロセスがイメージしやすい商品開発における価値向上プロセスと思われる。参考までに辞書によるとWorthValueの違いは次のように定義されている。

 

Worth=金銭的、精神的、絶対的価値、Value=相対的、有用性のから見た価値。